保存用ジャガイモの収穫を間近に控えて
「なんてジメジメした嫌な夏なんだろう!」何週間も前からベルギーでは、あちこちの会話でこんなつぶやきが聞こえます。気象情報によると、確かに今年は6月の初め以来、雨ばかり続き、晴天の日がほとんどありませんでした。このような天候はジャガイモの収穫にも影響を及ぼします。
今年の種芋の植え付けは、土壌が極めて良好な状態で4月20日から5月10日の間に行われました。5月の気温は例年よりも低めだったため、種芋から芽が出るまでに時間がかかりました。そして6月には湿度と気温が上がり、あっという間にジャガイモの葉が育ちましたが、塊根(イモ)の生育は伸び悩みました。そのためジャガイモ加工産業において最もポピュラーな「フォンテーン」種の一株あたりの収穫量は異常に乏しい結果となりました。
湿度が高いと葉は良く茂りますが、ジャガイモの最大の敵であるうどんこ病が蔓延しやすくなります。うどんこ病はカビによるもので、まず葉で発生し、7月の初めに土中感染の兆しが現れました。これに対処するために、栽培農家では6月の初めに予防対策を講じました。カビの胞子が塊茎まで伝染する可能性があるため、8月の末まで定期的に病原菌の伝染を最小限にとどめるための予防・治療用殺菌剤を散布しました。残念ながら菜園や有機栽培農園ではうどんこ病が優勢を占め、ほぼ全滅状態となりました。
さらに悪いことには、過剰な降水に太陽光の不足が重なり、満足な光合成ができませんでした。このような状況では、ジャガイモの株がストレスを溜めこみ、その反応として塊茎の生育に異常が現れることがあります。圃場のモニタリングでは、7月半ばに既に亀裂の入ったイモが見うけられ、8月の半ばからは一部の品種のイモの中心部に穴があるものが現れ始めました。
特にジャガイモを原料とする食品加工業者にとって気候状況は極めて重要です。毎年良きにつけ悪しきにつけ何かしら予期せぬことが起こり、それに対処しなければなりません。
収穫を数週間後に控えた今、農家の人々は良い天気に恵まれることを心から願っています。